2019年アメリカで最も売れた小説『ザリガニの鳴くところ』を一気に紹介!

 

『ザリガニの鳴くところ』 ディーリア・オーエンズ

 

 

 

 

ザリガニの鳴くところ

ザリガニの鳴くところ

 

 

目次

①要約

②感想

③本書のテーマ

④動物行動学者という視点

 

 

①《要約》

6歳のころ、家族に見捨てられたカイア。

ノースカロライナの湿地でたった一人で生き続けるカイアは、人の裏切りや愛を経験しながら成長していく。そんなカイアのそばにいたのは、広大な湿地の自然だった。

ある日、村で有名なチェイスの突然死にカイアの元へ、殺人容疑がかかる。

 

 

②《感想》

こんなにも、レビューが書けない作品があるだろうか、、、というのが第一声に言いたい感想。

もう、カイアを放っておいてあげてよと思う気持ちと、

もっとカイアを包み込んであげてよと思う相反する気持ちに揺さぶられながら最終ページを迎えました。

 

“生きる”ってまさにこういうことを言うんだと思います。

 

このたった数行を描くのに20分ほどかかってしまうほど、素晴らしい作品でした。

 

 

③《本書のテーマ》

もしこの本を何かのテーマに絞るのなら、

愛と憎しみではないでしょうか。

 

・カイアに文字を教えてくれたテイトからの愛

→このおかげでカイアは湿地で集めたものを標本にすることができた

 

・カイアを裏切ったテイト、チェイスへの憎しみ

 

・音沙汰もなく出て行った母親への憎しみと、大人になってから母の気もちを理解することができた愛

 

・自分を娘のように扱ってくれたジャンピンからの愛

 

・村のほぼ全員に“湿地の少女”を受けた差別という憎しみ

 

 

愛とか憎しみって、人間が描く独特なものだからこそ、こういった人間らしい感情を描くカイアにどこか安心している自分がいました。

 

 

④《動物行動学者という視点》

 

一方で、本書では動物が本能で動くシーンが頻出します。

たとえば、けがをした仲間を食い殺そうとうするシチメンチョウや、偽りの愛を送る蛍、

交尾相手を食い殺そうとうするカマキリなど。

この本能は決して野生だけがもつものではない。ということをこのように書かれています。

 

 

『ここには善悪の判断など無用だということを、カイアは知っていた。そこに悪意はなく、あるのはただ拍動する命だけなのだ』

 

 

『人間として感情に揺り動かされながらも、時として人間も、生き残るうえでやらざるを得ないことをするときがある』

 

このことを知っているカイアの強さや自立心に圧倒されました。

ここは、愛と憎しみというテーマを超えた領域にあると思いました。

 

 

それにしても、作者、動物行動学者といえど、こんな作品がデビュー作だなんて・・・

人種差別や貧困、教育格差、DVなど舞台となる1950年から1960年のアメリカの社会問題を実際に経験した身として描かれているからこそ、描写がリアルでした。

 

世界文学って、独特の言い回しや、時代背景の知識が要されることが多いと思うけど、

この作品はそういった知識は一切いらないので読みやすいです!

 

ただ、1900円+税と511ページにもなる長編作なので、根気強さが必要になります。

 

でも何度も言いますが、

読んで絶対に損しません!

一人の少女が生きぬく姿を見てほしいです!

 

では、次回の作品でまたお会いしましょう^^

誹謗中傷、不謹慎、炎上といった正義中毒の謎を脳科学的に解き明かす!中野信子著『人はなぜ、他人を許せないのか』をフリーターが読んでみた

《目次》

・要約

・選書理由

・結論

・他人を許せる自分になるために

・トレーニングメニュー

・感想

 

 

人は、なぜ他人を許せないのか?

人は、なぜ他人を許せないのか?

 

 

《要約》

世の中に渦巻く“許せない”感情は、なぜ生まれるのか?

歪んだ正義感の裏に潜む、驚くべき脳の構造に迫る!

 

≪選書理由≫

昨今、“不倫”“不謹慎”“ハラスメント”など、芸能人や一般有名人が炎上しているのが目につく日々。

 

放っておいたらいいのに・・・と思うときもあれば、わざわざSNSで書かずとも、

内心私自身もいろいろ感じる時があります。

 

どうして関係ない他人のことまで人はお節介を妬いてしまうのだろうと

純粋に疑問におもったので手に取ってみました。

 

 

≪結論≫

我々は誰しも、このよいうな状態にいとも簡単に陥ってしまう性質をもっている。

他人に「正義の制裁」を加えると、脳の快楽中枢が刺激され、快楽物質であるドーパミンが放出される。だからこそ、許せない自分を理解することが何より大切。

 

 

≪人をより許せる自分になるために≫

 

・怒りの感情が湧いたときは、その感情を増幅させてしまう前に、一呼吸おいて、

「自分は今、中毒症状がつよくなっているな」と判断する

 

・「許す」ための大きな足掛かりである全島前葉が更けないようにトレーニングする。

 

≪トレーニングメニュー≫

①慣れていることをやめて新しい体験をする

②不安定、過酷な環境に身を置く

③安易なカテゴライズ、レッテル貼りに逃げない

④余裕を大切にする

⑤食事はΩ3脂肪酸

⑥睡眠は隙間時間に昼寝をし、睡眠不足を避ける

⑦いい出会いでメタ認知能力を育てる

⑧自分にも他人にも一貫性を求めない

⑨対立ではなく並列で考える

 

 

≪感想≫

⑧の一貫性を求めないに関しては、私にとって大きな課題だと思いました。

これを読んだときグサッとくるほど笑

 

ストイックなところがあるひとや、自分に一貫性を無理にでも持たせようとする習慣がある人は要注意化も。

 

 

筆者は、はじめにとおわりにで、より具体的な解決策を提示することはしないと述べています。

本書は、気が楽になるために、どう“意識”していけばいいかノウハウが書かれている感じです。

 

でも実際読んでみて思ったのは、

人間は必ず正義感を備えている生き物だからこそ、そこを認めてうまく人と付き合っていくしかないということ。

 

 

人の悩みのほとんどが人間関係で、

人と関わりを絶てば、仕事でもどうしてあの人はあんなに適当なのにわたしはこんなにまじめにしているんだろう・・・とか

なんであんな言動ができるんだろうかとか、

もっとこうしたらいいのにとか、その都度考えずに済む。

 

だからこそ、本書を読めば、「誰にで日も備わっている」ということを脳科学的に知れただけでもだいぶ気が楽になるとおもいます。

実際私がそうです。

 

あとは、上記に書いたトレーニングメニューを実践し、

アドラー心理学の「課題の分離」を徹底するしかない。

 

嫌われる勇気

嫌われる勇気

 

 

 

それではまた次回の本でお会いしましょう!

 

chiisanbook

フリーターが人生において学ぶことの大切さを考え直す。池上彰著『なんのために学ぶのか』を読んでみた

≪目次≫

・結論

・具体的な行動

・大学生としての学び

・読書の効用

・読書の目的

池上彰の推薦書

・感想

  

 

なんのために学ぶのか (SB新書)

なんのために学ぶのか (SB新書)

 

 

Qなんのために学ぶのか

A 良好な人間関係を築いたり、世界で活躍していく上で、人間性を洞察する力を養い、語るべき内容を身に付ける必要がある為。

 

《具体的な行動》

一つの事象から、視野を広げて思索を展開していく事

 

☆例えば…

滋賀県大津市の保育園児16名の死傷事故

・令和への改元

・日本の言霊信仰

・途上国の子供の死因に下痢が多い理由

・先進国の日本で自殺者が多い理由

 

事象が起きた時に、短絡的に感情だけを示すのではなく、なぜこういったことが起きたのか、どうすれば二度とこういったことが起きないかを考える。

 

《大学生としての学び》

学生とは、自ら学んでいく生き方をする人間のこと。

社会では世論が二つに分かれることが多々ある中で、全てを信じ切るのではなく、本当にそうなのかと疑問を持っていく姿勢を培う場である。

 

《学びとして役立つ読書の効用》

嫌な現実に直面したとき、本の世界に逃げる事で自分の気持ちの持ち方を次第に変えていける。

 

《読書の目的》

①知識を取り入れて「自分の頭で考える」ことをしなければ、知識に振り回されるだけ。

ある人の本を読んではなるほどと思い、反対意見の人の本を読んでもなるほどと思っていたのでは、いつまでたても自分独自の意見は形成されない。

本をじっくりと読み、その内容について自分の頭で考えてみる。「腑に落ちる」までとことん考える。

この感覚が大切。

 

②人間関係に広がりをもたせるために、自分の土俵を増やす。その手段として読書がうってつけ。

 

池上彰の推薦書》

①ショウペンハウエル『読書について』

吉野源三郎君たちはどう生きるか

福沢諭吉『学問ノすすめ』

④カント『永遠平和のために』

⑤文部省『民主主義』

出口治明『人生を面白くする本物の教養』

 

 

 

学問のすすめ

学問のすすめ

 

 

 

漫画 君たちはどう生きるか

漫画 君たちはどう生きるか

 

 

 

 

 

民主主義 (角川ソフィア文庫)

民主主義 (角川ソフィア文庫)

  • 作者:文部省
  • 発売日: 2018/10/24
  • メディア: 文庫
 

 

 

 

 

①②④は既に読んでいたので、紹介されていてうれしかった!

《感想》

教育者として、子供たちに学ぶことの楽しさを伝えたいと強く思いました。

 

私自身の体験談ですが、

最近、授業でよく居眠りしていて遅刻数が目立つ生徒がいるのですが、少し距離感がつかみにくいなと日々悩んでいました。

ある日、眠い理由を聞いてみたところ、飛行機と絵画が好きで、夜中までYOUTUBEで飛行機の離陸映像を見ていたり、絵を描いていて寝不足だと言っていました。

 

私自身、前職が航空機運航従事者であったため、航空機の専門知識が身についていました。

「飛行機の何がすきなん?先生はエアバスよりボーイング派やな」とさりげなく伝えてみたら、

「先生飛行機詳しいん!?」と今までにない表情でくらいついてきました。笑

 

得に関しても、先日

原田マハ著「暗幕のゲルニカ」を読んだのでピカソの知識を多少身に着けていました。そこで。

「先生はピカソに最近はまってるわ」とさりげなく伝えてみたところ、

「今度期末テストの美術で、ピカソゲルニカの時代背景について書かなあかんから一緒に考えてほしいんやけど・・・とまさかの偶然が重なり重なり。。。笑

 

五分遅刻の日々から、授業開始時間には来て居眠り時間もかなり減りました。笑

 

自分の好きなものを誰かと共有できる時間って本当に楽しいものだと思います。

生徒のあの日の表情は今でも忘れられないです。

あぁ、読書してきてよかった、大変だったけど飛行機の知識を勉強してきてよかったと感じた一瞬でした。

 

 

 

この感覚って、自分をはじめとする多くの人の対人関係を豊かなものにしてくれると

私は思っています。

 

だからこそ、これからも常日頃からあらゆる事象に疑問を抱き、知識を得て自分の意見をもる癖をつけていこうと思います。

 

このブログも、インプットだけでなく人にない硫黄を説明することでアウトプットとし、より深く落とし込んでいく、そして必ず読書やまとめを添えて自分の意見を発していく。

 

この繰り返しが、自分という人間性を培っていくと思うし、ひいては

周りの人たちにポジティブな影響を及ぼしていけると信じています。

 

私の行いが間違っていなかったと自信につながる一冊でした。

 

 

それではまた次回の本でお会いしましょう!

 

chiisanbook

 

暗幕のゲルニカ(新潮文庫)

暗幕のゲルニカ(新潮文庫)

 

 

大切なのはIQ180レベルの頭脳か人を敬う心か?『アルジャーノンに花束を』をフリーターが読む

 

▽あらすじ

32歳になっても幼児の知能しかないパン屋のチャーリー・ゴードン。そんな彼に、夢のような話が舞い込んだ。大学の偉い先生が頭を良くしてくれるというのだ。この申し出にとびついた彼は、白ネズミのアルジャーノンを競争相手に連日検査を受けることに。やがて、手術により天才に変貌したが、、、

超知能を手に入れた青年の愛と憎しみ、喜びと孤独を通して人間の心の真実に迫り、全世界が涙した現代の聖書。

 

hayakawa-online.co.jp

 

▽読んでほしい人

  • なぜ知識を得る事が必要なのか考えたい人
  • 理系の人
  • 感動モノが好きな人
  • 近くにハンディキャップを持つ人や障がいをもつ人がいる人
  • 福祉に興味がある人

 

▽本作品の魅力

  1. 物語の構成
  2. 精神遅滞者への見方
  3. 知能をどう活かすか

 

①物語の構成

本作品は、チャーリーの「経過報告」という形で物語が進んでいく。

 

よって、最初のほうは、精神遅滞者のチャーリーが書いている物なので、ほぼ全て平仮名で書かれています。

物凄く読みにくいです。笑

 

手術の効果が得られ、IQ180に達する天才へと変化したときには、一般読者には全く分からない専門用語を用いて語られます。もちろん、漢字で。

 

その後、手術は失敗との結果が出、

アルジャーノンは死へ、チャーリーは元の自分へと戻っていきます。

その際は、少しずつ、平仮名表記が増え、“っ”も言えなくなる。

 

この構成がまず見事!

何といっても状況が掴みやすい!

天才化するときは、凄い凄い!と興奮気味で読んでいましたが、元に戻るときは、表記がかわっていくたびに涙無しでは読めません。

 

映画やドラマといった映像では、表情や口調でその変化を表すことができますが、活字だと難しいと思いきや、漢字・平仮名で表す方法があったのか・・・と思いました。

 

翻訳の小尾さんの見事な表現法だと思います。

英語版ではどうなんだろう・・・

 

精神遅滞者への見方

 

精神遅滞者だったチャーリーを、本人が分かっていない事をいいことに、笑い者にしてきたパン屋の同僚たち。この頃のチャーリーは、皆が自分を友達だと思ってくれていると思い込んでいて、自分と仲良くしてくれていると思い込んでいるのです。ですが、

お利巧になったチャーリーは、それは友達ではなくて、ただ嘲る行為だったんだと知ってしまいます。

自分を人間として見てほしいと切に願うチャーリーの姿から、精神遅滞者でと健常者は、果たして“同じ”人間であると真に思って接している人は果たしてどのくらいいるのだろうかと考えました。

ただ、実際チャーリーにできることや理解できる事は研究上限られていることが分かっていて、そういった人たちにどう接していくかはかなり難しい問題なのではないかと思います。

 

ただ、チャーリーが自分は笑い者にされていたということを知った時は

純粋に胸が苦しくなった・・・

特にこの台詞

ぼくの知能が遅滞していたときは、友達が大勢いた。いまは1人もいない。そりゃたしかにたくさんの人間は知っている。ほんとうにたくさんの人間をね。でも本当の友達は1人もいやしない。パン屋にいたときは、いつもいたのにね。ぼくに何かしてくれようという友達はどこにもいないし、ぼくがなにかしてやろうという友達もいない。

 

チャーリーの本心がわかりますよね。

本作は、482ページから構成されていて、チャーリーの本心が語られるのはようやく394ページからです。

所謂、この長い“検査期間”本心を語れることはなかったのです。

なぜなら、精神遅滞者であったときは、そこまで深く考えることができなかったから。また、天才化してもすぐ、心をなくしてしまったから。

 

上記の引用でもわかるように、この時点で既に平仮名表記が増えています。

劣化し始めている最中です。

精神遅滞者である本来のチャーリーとお利巧になれたチャーリーのジレンマに合いながら、本音を語りはじめるチャーリーの心象を考えると、

これ以上苦しめないで上げてほしい・・・と思えてなりませんでした。

 

 

③知能をどう活かすか

 

手術を受けて、IQ180になり、一般の人が一生かけて学ぶことも

彼は数週間で網羅するほど天才的頭脳に変貌しました。

チャーリーは過去に、プライドの高い母親から虐待を受けていたことから、

ずっと「お利巧になりたい」と願い続けてきました。

なので、チャーリーにとってはこの変化は最上の幸福だったのではないかと思います・・・と思いきや。

 

これまで、大学でシェイクスピアについて議論してきた仲間の発言すらも、

幼稚なものと捉えるようになり、研究室のストラウス博士やニーマン教授の事すらも見下すようになっていきます。

更には、パン屋の同僚のことすらも。よって、パン屋の同僚からは見捨てられ、孤独になったチャーリー。

 

チャーリーも、精神遅滞者を健常者レベルの知能にする研究に参加しますが、歳月がたつにつれ、チャーリーは元の姿へと戻っていきます。

この過程の中で、彼はあることに気が付きます。

それは、「研究の根本的な目的とはなにか」についてです。

 

チャーリーは、この研究はあくまでも未来の人間のためとなるようなものだったにも関わらず、気付けば人間を苦しめる研究だったと自らの変化によって知るのです。

 

本作を読むまでは、勉強する意味は立身出世といった私利私欲のためのみだと思っていました。

本作読了後、今までしてきた勉強はいったい何のためだったのだろうかと改めて考え直すようになりました。

 

「何のために学び、知識を得るのか」

 

ここの問いについては、長くなるので別の機会で書けたらと思います。

 

ただ、ある一つのものに対してだけ

チャーリーはIQ180になった状態でも思いやりをもって接することができる対象があります。それは、同実験の被験者であるネズミのアルジャーノンです。

私の考察ですが、同じ傷を負う者に対しての仲間意識であったり、心からのいたわりからくるものだったのではないでしょうか。

 

ここまで見てみると、悲しいお話じゃないかと思いますよね笑

ただ、チャーリーは間違いなくある素敵な人物に出会っていたと思う要素があります。

 

それは、アリスとの恋です。

研究生の一人なのですが、彼女はチャーリーのありのままの苦痛を受け止めてくれていました。それは同情ではなく、チャーリーへの愛だと思います。

 

チャーリーが元の姿へ日々戻っていくとき、天才化した自分を忘れたくないからと、チャーリーは部屋の一部を散らかした状態にしておきます。

アリスがそれを片付けようとすると、彼は激怒しました。

 

その時のアリスの台詞、

 

手術を受ける前のあなたはこんなふうじゃなかった。あなたは自分の汚らしさや自己憐憫におぼれたりはしなかった、人をどなったりしなかった。あなたには、あたしたちに尊敬する心をおこさせるようななにかがあった。他の精神遅滞者に見られなかった何かがあった。

 

この台詞は、どのチャーリに対しても等しくある愛なのではないかと思います。また、アリスに対する激怒も、愛しているがゆえに、真のチャーリーを見せたのではないでしょうか。

 

そして本作の最後の経過報告で最も大切なところ!

彼は、埋葬したアルジャーノンに花を添えるよう書きました。

 

チャーリーはアルジャーノンを友達と呼んでいました。先ほども述べましたが、同じ被験者だからこそ分かり合えるものがある、一番身近な存在だったからでしょう。

 

研究結果にも、チャーリーは

「アルジャーノン・ゴードン」と書きます。

 

チャーリーのアルジャーノンへの尊敬の念を考えると、この作品の題名は

アルジャーノンに花束を』としか考えられません。

 

 

余談ですが、数年前に山P主演で本作がドラマ化されましたよね。

 

あちらも見たのですが、

さすが山P、迫真の演技でした笑

 

主題歌は、ジブリのおもいでぽろぽろでも使用されている

Bette MidlerのThe Roseです。

こちらもぜひ聞いて見てください。

 

https://youtu.be/CB4EgdpYlnk

 

本作を読んでから、この曲を聞くとぴったりすぎて

涙止まりません(笑)

 

 それではまたのブログでお会いしましょう!

 

Chiisanbook

あらゆる苦しみを抱く人は絶対読むべき『i』をフリーターが読む

 

『i』 西加奈子

 

おススメ度

★★★★★

 

▽こんな人に読んでほしい

・自尊心が低くて悩んでいる

・世の中で起きていることに興味がある人

アイデンティティについて考えたい人

 

「この世界にアイは存在しません」

入学式の翌日、数学教師は言った。ひとりだけ、え、と声を出した。

ワイルド曽田アイ。その言葉は、アイに衝撃を与え、彼女の胸に居座り続ける事になる、ある「奇跡」が起こるまでは。

 

▽あらすじ

アイは自分の故郷であるシリアで、今尚戦争で苦しんでいる人たちがいるにも関わらず、日本とアメリカ人の夫婦の養子として、日本で幸せに過ごしていることに罪悪感を

抱いて生きていく。

ある出会いをきっかけに、アイの心が変わっていく。

 

 

シリアと日本、戦争と平和 という対比が

「苦しみ」という概念を際立たせてくれていると思った。

 

 

いつでも、虐げられている人が一番辛いと認識されがちで、

苦しい=そちらに焦点が向けられる傾向があるから、

アイのような苦しみに焦点が当たるのは新しい角度の

1冊だと思う。

 

苦しいと言ったら、もっとこれ以上い苦しんでいる人がいるとか、

 

生きてる意味が分からないと言えば、生きたくても生きれない環境下にある人がいるとか、

 

もっと、広い視野じゃなくて目の前の個人を見られる、そんな世界になってほしいと思った。

 

苦しみ に比較なんてできるはずがないのに。。。

 

でも逆に、今の日本は世界で起きている事にもっと注目するべきだと思う。

 

今起きている事を知って、何かをしなきゃいけないとかではなくて、

 

知って胸を痛める、又は 何も思わない。

 

どちらやったとしても、これはほかの誰でもない、私自身の気持ちなのではないだろうか。

 

この気持ちにはだれも口出しすることはできない。

 

ただ、知ろうとしなければ、確実なゼロだけど、

知ろうとする、それ自体が自体が 愛 なのではないかな。

 

そういうことを、著者の西加奈子さんは言いたかったのではないか。

 

主人公のアイが幸せに、幸せに生きてる自分を醜いものとして見てしまう姿に、

この立場で苦しんでいる人もいるという事を知った

 

苦しみがあるから、より人生は深みを増す。

 

この世界に、アイは存在します。

 

 

死ぬまでに絶対読むべき『ライオンのおやつ』をフリーターがレビューする

『ライオンのおやつ』 小川糸

 

おススメ度

★★★★★

 

▽こんな人に読んでほしい

・人の生き方から勇気をもらいたい人

・瀬戸内の舞台からリラックス感に浸りたい人

・自分の考えや気持ちを素直に肯定できなくて困っている人

 

 

人生の最後に食べたいおやつは何ですか

余命を知った主人公は、島のホスピスを選ぶ。食べること、生きることを描き出す感動作。

 

 

まさに、生きている事へ、幸せを噛み締められる作品でした。

肉親がおらず、叔父に育てられ15歳から独り立ちをして強気に生きてきた雫にとって、マドンナ(ホスピスの主人)の存在は神様のようなお母さんのような存在だったのではないか。

 

病気が、身の回りのあらゆるものに感謝ができる自分へとさせてくれたと

思える雫の強さに学ぶものがあった。

 

特に、これまで自分の気持ちに素直になれなかった雫が、死にたくないという正直な気持ちを受け止めたシーンは、自分に重なるものがあった。

 

自分の気持ちに素直になるって難しくないですか?

本当は、こう思うんだけど周りの意見や評価を気にして思っちゃいけないんじゃないかと押し殺してしまう事が多い私にとって、自分の気持ちを受け止めてあげる事がなかなかできないから。

 

 

自分に厳しい人は雫の正確に共感できるのではないでしょうか。

 

『そんなに簡単に、自分の生き方を変える事はできないもの。でも、自分の人生を最後まで諦めずに変えようと努力すること、そのことに大きな意味がある』

 

と、最後まで生き抜く雫に感動が抑えきれない。。。。

 

 

 

私が2日に1冊の割合で読書をする理由

2020年2月15日 ブログ開設

 

▽私が読書する理由

 励ましの題材だから

思考を整理できるから

学びになるから

 

①励ましの題材とは

本って、作者の思考や哲学、経験が入り混じってると思うんですよ。

ある意味、自分以外の人を知れる教材というか。

だから、私と同じような経験をしたことがある主人公に出会えるし、もっと苦しい経験をした事があるひとにも出会える。

本は、自分ももっと頑張らなくてはと思わせてくれます。

 

②思考を整理できるから

時々、自分の思っていることを言葉にできない時ってないですか?

私は度々あるのですが、、、

そんな時、①のように、同じような境地にある他人に出会うとその人が言葉にしてくれてるんです。だって、本だから。文字が絶対あるから笑

あーそうそう、そういったかんじ、自分はそれが言いたかったんだよ!といった具合に。

 

③学びになるから

自己啓発本や実用書のように、結果を残している人たちの習慣や知識、経験を得れるんです。これは、ブログやYouTubeでもいえることですね。

①とは逆に、自分とは全くかけ離れたタイプの人間を知ることも学びになります。

 

本年は、100冊の読了を目指して、2日に1冊の割合で読書しています。

 

本ブログは読書記録ともいえますが、

沢山の人に良書を紹介していく先に、多くの人が素晴らしい本に出会い、

向上していける人生となればとの思いで開設しました。

 

以上の願いが叶うよう、私も益々読書に励んでいきます。