あらゆる苦しみを抱く人は絶対読むべき『i』をフリーターが読む
『i』 西加奈子
おススメ度
★★★★★
▽こんな人に読んでほしい
・自尊心が低くて悩んでいる
・世の中で起きていることに興味がある人
・アイデンティティについて考えたい人
「この世界にアイは存在しません」
入学式の翌日、数学教師は言った。ひとりだけ、え、と声を出した。
ワイルド曽田アイ。その言葉は、アイに衝撃を与え、彼女の胸に居座り続ける事になる、ある「奇跡」が起こるまでは。
▽あらすじ
アイは自分の故郷であるシリアで、今尚戦争で苦しんでいる人たちがいるにも関わらず、日本とアメリカ人の夫婦の養子として、日本で幸せに過ごしていることに罪悪感を
抱いて生きていく。
ある出会いをきっかけに、アイの心が変わっていく。
シリアと日本、戦争と平和 という対比が
「苦しみ」という概念を際立たせてくれていると思った。
いつでも、虐げられている人が一番辛いと認識されがちで、
苦しい=そちらに焦点が向けられる傾向があるから、
アイのような苦しみに焦点が当たるのは新しい角度の
1冊だと思う。
苦しいと言ったら、もっとこれ以上い苦しんでいる人がいるとか、
生きてる意味が分からないと言えば、生きたくても生きれない環境下にある人がいるとか、
もっと、広い視野じゃなくて目の前の個人を見られる、そんな世界になってほしいと思った。
苦しみ に比較なんてできるはずがないのに。。。
でも逆に、今の日本は世界で起きている事にもっと注目するべきだと思う。
今起きている事を知って、何かをしなきゃいけないとかではなくて、
知って胸を痛める、又は 何も思わない。
どちらやったとしても、これはほかの誰でもない、私自身の気持ちなのではないだろうか。
この気持ちにはだれも口出しすることはできない。
ただ、知ろうとしなければ、確実なゼロだけど、
知ろうとする、それ自体が自体が 愛 なのではないかな。
そういうことを、著者の西加奈子さんは言いたかったのではないか。
主人公のアイが幸せに、幸せに生きてる自分を醜いものとして見てしまう姿に、
この立場で苦しんでいる人もいるという事を知った
苦しみがあるから、より人生は深みを増す。
この世界に、アイは存在します。